豪華キャストによる極上ミステリー

フランス映画を余り知らない方でも、『シェルブールの雨傘』や『昼顔』の主演女優、カトリーヌ・ドヌーヴはご存じでしょう。エマニュエル・ベア―ルは『美しき諍い女』のような文芸作品から、『ミッション:インポッシブル』のようなアクション映画にも出演する美女。今回は生意気でツンツンした態度が最高でしたね。

イザベル・ユペールは通好みの女優で、『主婦マリーがしたこと』でヴェネツィア国際映画祭女優賞。2023年の『私がやりました』でも痛快な「落ちぶれた元スター女優」を熱演しています。ファニー・アルダンは2002年に『永遠のマリア・カラス』でカラスを演じ、当たりまくったお方。

 

要するに「主演しかやらない女優」だけで作られた映画ってことで、この女優たちを料理した「オゾンってすごくない?」となるわけ。

さて、本編は基本ミステリー仕立て。舞台は雪に閉ざされた、いかにもブルジョワ家庭の豪華な屋敷。

クリスマス休暇で帰ってきた大学生の娘を皮切りに家族関係者が集まり、新旧のメイドを交えてストーリーが進行します。

8人の女たちが集まると、その家の主ことマルセルが殺害されていることが発覚。次女のカトリーヌが警察に電話しようとするも、電話線が切られていて、大雪のために車を動かすこともできない。絶海の孤島と化した屋敷。その日の未明までマルセルは生きていた。ならば8人の女たちのうち誰かが犯人…。

筋自体はアガサ・クリスティーのような古典的ミステリー。携帯や防犯システムが発達している現代なら事件にもなりえないことが、1950年代ならこじれてミステリーになります。