トレンドや診断を取り入れても、しっくりこない…?
服とは本来「どういう自分で在りたいか」「自分をどう見せたいか」という意思に基づいて選び、身につけるものとして発展してきました。ですから、「私はおしゃれが苦手だから代わりに選んで」ではなく、「自分はどうなりたいのか」ということを、服を着る本人が考えて決めなければならないのです。
トレンド情報や、「*歳までに持っておきたいマストアイテム!」や、あるいはさまざまなスタイリング診断などに頼っては振り回されていると、やがて自分でも何が好きでどうなりたいのか、本当にわからなくなってしまいます。
そうした状態で選んだ服は、どこかぼんやりとしてちぐはぐで、自分でも納得がいかないのではないでしょうか。
「トレンドも取り入れているし、診断も受けたのに、なんだかしっくりこない」というお悩みの原因は、自分が「どうなりたいか」が曖昧だからなのです。
今、多くの人がこういう状態に陥ってしまっている原因は、アパレル業界のしくみにあると私は思っています。
アパレルメーカーが生き残るには、服を常にたくさん売り続けなければなりません。そのために生み出されたのがトレンドです。
「私は服を殺すのよ、次の新しい服を売るために」コレはココ・シャネルの言葉です。
つまり、トレンドを煽(あお)ったり終わらせたりを繰り返して、新しい服を買うように促すのがアパレル業界の定めなのです。
買う側も「トレンドに乗っていないとダサいと思われる」という不安感から、トレンド服に次々と手を出すようになります。その繰り返しの中で、自分は何が好きか、どう在りたいのかといった大切なことが置き去りにされ、本来の服の選び方もどこかへ消えてしまった──。
これが、今のファッションだと私は推測しています。
ですから、「私はこう在りたい」「自分をこう見せたい」というはっきりした意思があれば、トレンドやさまざまな情報にも振り回されずにいられるのです。
「自分はどうなりたいのか?」という意識。これが服選びにおける絶対的な基準です。
※本稿は、『「センスがいい人」だけが知っていること』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
『「センスがいい人」だけが知っていること』(著:しぎはらひろ子/青春出版社)
洋服はたくさん持っているのに、着たい服がない。そもそもおしゃれに自信がない。自分に何が似合うのかわからない。そんな悩みが生まれてしまうのは、「ファッションの仕組み」を知らないから。ファッションにも理論や仕組みがあり、それを知るだけで簡単に「センスのいい着こなし」ができます。
ベストドレッサー賞審査員をつとめ、これまでに8万人以上のスタイリスト、アパレル販売員など、ファッションのプロを育成してきた「服飾学」の第一人者が、時代にもトレンドにも踊らされずに自分の洋服を選ぶ方法をお伝えします。