今の時代に合った介護とは?
人間は、年齢とともに、体と心がどうしても衰えていきます。
重い物を持つのがしんどくなったり、それまで我慢できていたことが我慢できなくなったり。それは人間の特性上、仕方のないことです。
ただでさえ大変な介護を、心身の衰えた体で「我慢と忍耐」で行うのは土台無理な話です。
すぐに限界を迎え、待ち受けているのは「共倒れ」という悲惨な結末――。
そのため、老老介護が増えていく時代だからこそ、これまでの介護は変わらなければなりません。
何事も忍耐で乗り切るなんて前時代的すぎます。
昔のスポーツトレーニングを考えれば一目瞭然(いちもくりょうぜん)です。
シニア層は経験しているでしょう。根性を鍛えるなどの意味合いからか、炎天下でも水を飲まずに長時間、我慢と忍耐の練習を強いられ、それが強靭(きょうじん)な体をつくると信じられていました。
しかし、今では、できるだけ水分補給をするようになり、高校野球やサッカーの試合などでも、水分補給などの時間が設けられるようになりました。
2023年の夏の甲子園で「エンジョイ・ベースボール」を掲げた慶應義塾高校が優勝し、丸刈りや長時間練習といった「つらい」時代の高校野球に、変革が起きたと感じた方も少なくないのではないでしょうか。
「エンジョイ・ベースボール」のように「エンジョイ・ナーシング・ケア」(楽しい介護)の時代が訪れているのです。
ある家族だけが「我慢と忍耐の介護」をし続けるのではなく、地域や周りの専門家の助けを借りながら、できるだけ介護をする側の負担を減らす「チームで支え合う介護」の時代へと必然的に変わらなくてはならないのです。
※本稿は、『老老介護で知っておきたいことのすべて 幸せな介護の入門書』(アスコム)の一部を再編集したものです。
『老老介護で知っておきたいことのすべて 幸せな介護の入門書』(著:坪田康佑/アスコム)
・今はまだ元気だけどこの先不安
・介護疲れからか、相手につらくあたってしまう
・自分の体調もよくないし、このままだと共倒れが怖い
気力や体力が衰えはじめている状態で行う老老介護だからこそ
生まれる不安と悩みを解決するコツを網羅した1冊です。
人生の後半戦を幸せに乗り切るために、ぜひ一家に一冊ご用意を!