形を変えて本は残り続けるだろう

「値段は高くても、これだけは部屋に置いておきたい、自分にとって特別だと思える少数の本だけが未来にも残る」と、多くの子どもが言っていたそうだ。もう7年前の話なので、いまの小学生はまた違うのかもしれない。が、本の未来について子どもたちがこんなことを考えているのかと思うと、出版関係者(もちろん著者も含む)のほうがのんびりしているのではないかと感じたものだった。

街の本屋さんが消えていく流れは、英国のほうが早く来た。どこの街にもあったチェーン店さえ最大手による買収が進んで店舗数が激減し、誰もが知っていた歴史ある書店がいくつもなくなった。でも、英国では、ここ数年で流れが再び変わっている。独立系書店の数が6年連続で増加していて、20年以上も続いていた書店減少の傾向が止まっているのだ。昔のようにどこに行ってもあった似たような書店は姿を消したが、個性的で唯一無二の書店がどんどん増えているのである。

形が変わっただけで、書店もなくならなかったということは、本も違う形で残り続けるのだろう。そんな未来に想いを馳せながら、20代、50代、90代の3世代で作った一冊の本をいま送り出せたことに喜びを感じている。こうしてまた1年が終わるが、新しい年はやってくるのだ。