戦争、コロナ禍、気候変動

ここ数年、ニュースといえば現実に起きた3種類の危険、「戦争」「コロナ禍」「気候変動」のことばかりでした。地球上で戦争や紛争が起きること自体は目新しいことではありませんし、1つの星で80億もの人が仲良く暮らせという方が難しいのかもしれません。

『メンタル脳』(著:アンデシュ・ハンセン, マッツ・ヴェンブラード 翻訳:久山葉子/新潮社)

ですが、前よりも戦争が身近に感じられ、自分の国も巻き込まれるのではないかと懸念する人が増えました。

また、現代では類を見ない規模の感染症の爆発、新型コロナによるパンデミックが勃発し、そのせいで生活が激変することも思い知らされました。その上、気候変動という大問題が年々地球を脅かしています。

現実に存在する危険に圧倒され、「自分などちっぽけで無力な存在だ」と感じてしまう人もいるでしょう。

世界が今までより危険で安心出来ない場所に思え、特に若い世代の人たちが不安を感じています。この状況ではパニックに近いような強い不安に襲われても不思議はありません。

そんな時、私たちの脳では何が起きているのでしょうか。そしてつらい気持ちに人生を乗っ取られないようにするにはどうすればいいのでしょうか。

まずは、危険に関する情報が生死に関わった時代に戻ってみましょう。「このあたりでトラがうろうろしている」「隣村がうちの村を攻撃する計画をしている」といった情報を知っておくことは非常に重要でした。そのような待ったなしの種類のニュースが優先されます。

これは現代でも同じで、私たちは危険に注目するよう厳密にプログラミングされているのです。