スキップをしてみた

初場所は各力士の今年の目標を、大相撲放送の中やニュースなどで知ることができる。

先日、私は今年の目標どころか、今後の自分の人生が老いと金欠と孤独で悲惨なものになると確信しながら、とぼとぼと人通りのない一本道を歩いていた。

その時、急に幼稚園時代にスキップがうまくて、園長先生にたびたびほめられたことを思い出した。70歳の今できるだろうか?と思い、左足で2回、右足で2回、スキップをしてみた。

足が上がらない。倒れそうになった。再度やってみた。足首とふくらはぎと膝の外側が痛い。幼稚園から65年の歳月を経て、「スキップの女王」(自分で勝手につけた)はこんなにも情けないことになっていたのだ。首まで痛んできた。それでも、続けた。

すると後ろから、「大丈夫ですか?歩けますか?」と声がかかり、私は驚いて立ち止まった。私の横に車が止まり、中年の女性が窓から顔を出し、「足が痙攣したのですね。ご自宅は近いですか?送りましょうか」と真剣な調子で言われた。

私が大丈夫だと言ったので、車は走り去った。親切な人がいるものだと感謝したが、私のスキップが痙攣にしか見えなかったことはショックだった。