佐藤さん「そもそも餌を蓄えているアリにお願いに行くという発想自体が、新自由主義的」(写真提供:Photo AC)
多くの人が子どもの頃に読んだり、読み聞かされたりした「童話(寓話)」。実はその中に「人間とはどのように生きるべきか」といった指針や智恵がたくさん詰まっている、と話すのはジャーナリストの池上彰さんです。今回その池上さんと、元外務省主任分析官で作家の佐藤優さんがあらためて童話を読み返し、人生に役立つヒントを探します。たとえば佐藤さんは「アリとキリギリス」の話で、アリにキリギリスが餌を分けてくれるようにお願いに行く、という発想が新自由主義的と言っていて――。

「アリとキリギリス」

◎あらすじ

ある夏の日、キリギリスはバイオリンを弾き、歌を歌って楽しく過ごしていた。

一方、アリたちは、冬に備えて食料をせっせと家に運んでいた。「食べ物はたくさんあるじゃないか」と言うキリギリスに、アリは「冬になると、なくなってしまう」と答えるが、キリギリスは意に介さずに、またバイオリンを弾き始めた。

やがて冬になり、キリギリスは食料を探すものの、周りには何もなかった。困り果てたキリギリスは、最後に食料を分けてもらおうと、アリの家を訪ねる。

しかし、冬になるまでキリギリスが何もしなかったことを知るアリたちが、彼の願いを受け入れることはなく、飢えて死ぬしかなかった。[「アリとキリギリスイソップ]