日本の2月は恵方巻き

ここ数年の2月といえば、バレンタインデーよりも恵方巻きのほうが圧倒的に存在感を増してきた。元々は関西の風習が、縁起物だと関東へ流れてきたらしい。日本人は愛や感謝をチョコレートで表すことに金を使うよりも、ご利益を優先したと思うと納得だ。

余談だけど、この文化を流行らせたのは、ダウンタウンの浜田雅功こと、浜ちゃんの妻・小川菜摘だと思っている。彼女が1996年の上梓したエッセイ『おかえりっ!―浜田雅功ファミリーのできるまで』で、恵方巻きのことを夫から教えられたと書いていた記憶がある。おそらくこのことは様々なバラエティー番組で話しているだろうし、この後、2000年くらいからデパ地下に恵方巻きが並んでいた。南野陽子が話していたという一説もあるが、私は小川菜摘の影響力に一票を投じる。

確かに恵方巻きであれば、一食分はこれでメニューを考えなくてもいい。大量の炭水化物を摂取しているけれど、縁起物となれば罪悪感は減る。そんなことを考えながら、昨年の2月3日にデパ地下を歩いていると、面白い売り場を見つけてしまった。

「バレンタインと恵方巻きを兼ねていかがですか?」

という触れ込みで、洋菓子店がチョコロールケーキを4000円で売っていた。恵方を向いてひとりで食べたら、確実に胸焼けが保証されているフルサイズ。「ガワが黒いだけやんか!」と、心の中で総ツッコミをしてしまった。これも商売根性がひしひしと伝わる、完全なる下心である。

桜新町の『OGAWA COFFEE LABORATORY』のスイーツは甘すぎないので、時々いただく