キャリアは20年に。いまだに自信が持てない日も

どちらのバージョンも見たくなる豪華なWキャスト

10代の頃「歌手になりたい」と伝えた時の両親の反応は、「いいじゃない~。頑張って」という感じでしたが、『レ・ミゼラブル』への出演が決まった時はさすがに驚いていましたね。(笑)

昔から「やりたい事をやりなさい」と全面的に信頼してくれた両親だからこそ、私は自主的に「親に甘えるのは大学を卒業するまで」と期限を定めることができました。やはり人生には抗えない「流れ」みたいなものがあって、押しても開かない扉はある。

ある程度は期限を決めて、その中で頑張ってもダメなら他の可能性を見つけるため次に行くというのは、時には必要なのかなと思います。

不思議な巡り合わせで飛び込んだミュージカル界は、完全なる未知の世界。当時、私が知っていたミュージカルは『キャッツ』くらいで、帝国劇場がどれほど大きく歴史ある劇場なのかもわかっていませんでした。でも今思えば、無知だったおかげで足がすくむこともなく、初舞台を踏めたのかもしれませんね。

この仕事を始めてからの最初の10年は、ただがむしゃらに目の前の課題に取り組む日々でした。自身の成長がまったく見えず、苦しい時間を過ごしたこともありましたが、あるときふと、その頑張りが全部自分の筋肉になっていることに気づいたんですね。

そしてそこからさらに経験を積み、現在、キャリアは20年に。いまだに自信が持てない日もありますが、それでも歩いてきた道を振り返れば「ここまで20年やってきたじゃない。だから今回も大丈夫!」と自分に言ってあげることもできる。今は、とても楽な気持ちで舞台に立てています。