整枝・剪定

茶樹の表面を刈る作業には、大きく2つあります。一つは、茶の株面をきれいに整える「整枝(せいし)」。もう一つは「剪枝(せんし)」といって、茶樹の高さを低く切り下げる作業です。

整枝は、新芽を摘み採るときに古い葉や茎を一緒に刈ってしまわないよう株面をそろえて、新芽が一斉に伸びるように整える作業で、これには、茶樹の生育が止まる10月頃に行う秋整枝と、茶樹の活動が始まる前の2月~3月に行う春整枝があります。

何年も収穫を繰り返した茶樹は枝の数は増えますが、しだいに新芽や枝はやせて、お茶の品質も低下します。そこで茶樹が低くなるよう剪定し、枝数を減らして勢いのいい芽が出るようにします。

茶樹の形には、「弧状型」「水平型」などがありますが、玉露やてん茶の茶園で見られる枝を自然に伸ばした「自然仕立て」もまた特徴的です。一口に剪定といっても、作るお茶、茶摘みの方法に合わせて、さまざまな工夫がされています。

 

※本稿は、『八女茶――発祥600年』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。

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八女茶――発祥600年』(監修:福岡の八女茶 発祥600年祭実行委員会/中央公論新社)

〈八女の玉露はなぜ高級? なぜうま味が濃い? 〉 
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