整枝・剪定

茶樹の表面を刈る作業には、大きく2つあります。一つは、茶の株面をきれいに整える「整枝(せいし)」。もう一つは「剪枝(せんし)」といって、茶樹の高さを低く切り下げる作業です。

整枝は、新芽を摘み採るときに古い葉や茎を一緒に刈ってしまわないよう株面をそろえて、新芽が一斉に伸びるように整える作業で、これには、茶樹の生育が止まる10月頃に行う秋整枝と、茶樹の活動が始まる前の2月~3月に行う春整枝があります。

何年も収穫を繰り返した茶樹は枝の数は増えますが、しだいに新芽や枝はやせて、お茶の品質も低下します。そこで茶樹が低くなるよう剪定し、枝数を減らして勢いのいい芽が出るようにします。

茶樹の形には、「弧状型」「水平型」などがありますが、玉露やてん茶の茶園で見られる枝を自然に伸ばした「自然仕立て」もまた特徴的です。一口に剪定といっても、作るお茶、茶摘みの方法に合わせて、さまざまな工夫がされています。

 

※本稿は、『八女茶――発祥600年』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。


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八女茶――発祥600年』(監修:福岡の八女茶 発祥600年祭実行委員会/中央公論新社)

〈八女の玉露はなぜ高級? なぜうま味が濃い? 〉 
 日本茶のなかでも高品質な玉露の産地として知られる福岡県八女。
 室町時代、明より茶の種が持ち帰られ、栽培方法が伝えられてから、2023年で600年の節目を迎えた。
 全国的にみると小さな産地である八女は、いかに高級茶葉の産地となったのか。
 独特な気象条件のもと機械化をせず、手摘みにこだわるなど徹底した手法を貫き、品評会で全国に名を轟かせる「八女伝統本玉露」の圧倒的なうま味、甘み、冴え。一杯の茶が忘れられない体験になるとも言われる。
 今、八女茶は世界的シェフやソムリエとコラボレーションにより、世界へ羽ばたこうとしている。
 日本一の玉露を作る茶の匠を追いかけ、八女茶の魅力に迫る一冊。八女茶の六百史掲載。