やってみないとわからない
21時台退勤の翌日、5時台に出勤するということが不可能になるので、こういった場面は増えるだろう。
その場合、誰が残業することになるか。それは普段あまり残業を希望していない人にお願いして担当してもらうことになるだろう。
現状のルールが長年運用されてきたことにより、「稼ぎたい人が稼ぎ、休みたい人は休む」という棲み分けが自然とうまく行われてきた。
それが今回の改正で崩れてしまい、残業を希望しない人が残業せざるを得なくなるなら、場合によっては退職してしまうということもあるかもしれない。
全員が上限いっぱいまで長時間労働することが前提になった勤務であれば問題だが、そうでなければ本人の希望で多く稼げる余地があったほうが、結果としてあまり稼がなくてもいい(残業が少ないほうが嬉しい)人の希望も叶えられる。
とはいっても、2020年以降のコロナ禍によって特に深夜の時間帯のバスは大幅に減便され、需要が回復しつつある今もその大半は減便されたままだ。
法改正自体は2019年に決まっていたので、今回のコロナ禍をきっかけに2024年問題にある程度対応できる勤務体系にシフトしているバス事業者も多いだろう。
そう考えると、トラック業界に比べれば思ったより影響は出てこないのかもしれない。実際にどうなるかはやってみないとわからない面も多い。
2024年になったいま大きなトラブルがないことを願うばかりだ。
※本稿は、『逆境路線バス職員日誌 車庫の端から日本をのぞくと』(二見書房)の一部を再編集したものです。
『逆境路線バス職員日誌 車庫の端から日本をのぞくと』(著:綿貫渉/二見書房)
元バス営業所職員兼JR職員の交通系YouTuber綿貫渉がバスから日本を見る、まったく新しいバスエッセイ!
日本初・定常運行の自動運転バスに乗ってみた感想や、「キングオブ深夜バス」として知られるはかた号やアメリカのバス乗車記、テレ東「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」プロデューサーとの対談も盛り込んだ、今までにないバスに焦点を絞った1冊!