「丸に一引き」
日本の郵便事業は明治4年(1871)に始まったが、当初はトレードマークがなかった。それが同10年頃から大きな赤丸を赤い太線が貫く「丸に一引き」が郵便配達員の制服、制帽などに記され、これが事実上の郵便マークとなる(下のイラスト右下部を参照)。
その3年後に整備が始められた地形図の前身である2万分1迅速測図(関東地方で整備)にも早速このマークが「郵便局」に採用された。
実際の記号は手元の『地図記号のうつりかわり』(日本地図センター刊、絶版)の記号対照表に掲載されているが、実際の地図にどんな具合に描かれているのか、ためしに日本橋や銀座などを目を皿のようにして探したが、どこにも見当たらない。
諦めかけた頃にようやく「八王子」の図の横山町に見つけた。都心に郵便局がないはずはなく、「迅速」に作成した経緯も関係してか、描き漏らされた局はかなり多そうだ。
ついでながら、その後に関西を中心に整備された2万分1仮製地形図にも同じ記号が用いられている。