封筒マーク

地形図は時代の進展とともに表現内容を充実させていったが、「明治24年地形図図式」では逓信省マークの〒記号を初めて採用した。

厳密には「郵便電信局」を表すが、これは郵便と電信の双方を扱う局である。これに対して郵便のみを扱う「郵便局」は封筒マークとした。

<『地図記号のひみつ』より>

こちらは現在でも国際的に認知度が高く、今も欧米の民間市街地図などに用いられているし、それより電子メールを示すアイコンとしての知名度がきわめて高い。

電信局が扱ったのは具体的には電報である。利用者は「頼信紙」に電文をカタカナで書いて電信局の窓口に提出、それが電信で相手先の最寄り局に伝えられ、カタカナで印字された紙を配達員が届ける仕組みだ。

今では電報といえば豪華な装飾を伴った祝電や弔電に特化しているが、私が20代の頃木賃アパートに住んでいた当初、電話を引いていなかったので友人から急ぎの用で電報を受け取ったことがあった。

私としてはこれが最初でおそらく最後の「普通の電報」の経験だが、電話が一般化する前のもっと昔には日常風景だったのである。