旅先で出会ったエッセイと、“母”への想い

ドラマや映画の撮影で多忙な日々の中、新たな趣味を楽しんでいる杉咲さん。プライベート時間の充実に一役買っているのは、運転する時間だという。

昨年免許を取ったのですが、最近はとにかく運転が楽しくて。何かにつけて車で出かけています。岩手の盛岡に1人旅をした時も、レンタカーをしてドライブしました。車って、1人の空間のまま移動できることがすごいですよね。感動しました。自分のタイミングでぶつぶつ独り言を言ってもいいんだ、みたいな。(笑) 

盛岡は、本当に素敵な土地でした。旅行中、「BOOKNERD」という書店さんにお邪魔したのですが、そこで出会った本もすごくよかったんです。向坂くじらさんの『夫婦間における愛の適温』というエッセイなのですが、暮らしの中で感じる眩しさや切ないこと、幸福であることをこんなにも豊かに書き起こせる方がいるんだ、って。本当に愛おしい1冊で、読み終わってすぐにもう1度読み直してしまいました。 

“他者と共に生きていく”ことに対して、向坂さんの視点がすごく素敵だなと思ったんです。起こった事象をどう捉えて、どう表現するのかという部分に向坂さんのオリジナリティが溢れていて。表紙の装丁もとても可愛らしいんです。

“家族”という観点でいうと、私が1番尊敬しているのは母親です。見返りを求めない人で、愛を捧げ続ける姿に尊敬を抱きます。母に接するたび、自分もこうありたいなと思います。

仕事に限らず、出会った方々と関わっていくことが、自分自身の感覚や価値観を見つめ直すきっかけにもなっています。そういった変化は、生活や関わる作品にも反映していくものだと思うので、これからもひとつひとつの出会いを大切にしていきたいです。