労働生産性

今、日本は急激な人口減少という大きな社会問題を抱え、労働力不足が切実な問題としてクローズアップされています。

この問題を解決するために最も重要な視点が「労働生産性」を上げ、効率的な働き方を実現していくことですが、残念ながら日本の一人当たり労働生産性は、OECD加盟38ヵ国中31位(日本生産性本部「労働生産性の国際比較2023」より)と、先進国の中で最低レベルの労働生産性というのが実態です。

今、国をあげて労働生産性を向上させる取り組みを行っていますが、なかなか改善が進まない最大の理由が、大袈裟(おおげさ)に言えば日本の学校の宿題の多さにあると僕は思います。

つまり、一向に労働生産性を上げることができない大人の姿は、すでに小学校時代にできあがってしまっているのです。

話を戻すと、麹町中で宿題をなくして特に喜んだのは中学3年生の生徒たちとその保護者たちでした。宿題が受験勉強を邪魔していたからです。

もし、逆に「うちの子は宿題が出ないから勉強しなくなりました」と主張する保護者の方がいらっしゃったら、こう言ってあげたいものです。

「自分がうまくいかないことがあると、すぐに人のせいにして生きていく大人になりますよ」と。

※本稿は、『校長の力-学校が変わらない理由、変わる秘訣』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。


校長の力-学校が変わらない理由、変わる秘訣』(著:工藤勇一/中央公論新社)

著者は『学校の「当たり前」をやめた。』で反響を呼んだ麹町中学校・前校長。現在、校長を務める横浜創英中学・高校の改革も適宜紹介。

その気になれば、校長はここまでできる! 全教員必携の経営論・人材育成論にして、保護者向け永久保存版テキスト。