「最後に残るのが舞台なら、今のうちにしっかりやっておかなくては、と思ったのです」(写真撮影◎本社 奥西義和)
『メンズノンノ』創刊号のファッションモデルを務め、後に俳優として単身渡米し、国内外問わず活躍する俳優・加藤雅也さん。2024年3月には、神津恭介シリーズの舞台『わが一高時代の犯罪』に出演します。60歳を迎えられた今も、舞台から映像作品まで幅広い活動を続ける加藤さんに、これまでの道のりや、今後の活動への意気込みについて伺いました。(構成◎上田恵子 写真撮影◎本社 奥西義和)

<前編よりつづく

日々ニュースを見て、世界で何が起きているか把握する

1995年、僕はハリウッドのプロデューサーから声を掛けられ、アメリカ・ロサンゼルスに拠点を移しました。数年に及んだ現地での活動で知ったのは、世界情勢とエンターテインメントの深い関わりです。

向こうでは、準備がすべて整い撮影に入るばかりになっていても、関係する国の政治的・経済的な情勢の悪化を理由に、企画そのものが無くなることが何度かありました。資金を出している投資家が勢いのある別の国の作品に乗り換えて、撮影が中止になってしまったこともあります。個人的なことで言えば、つい最近もロシアの映画人とのルートが、戦争の勃発ですべて無くなりました。

なのでこれから海外に行こうと考えている若い役者たちは、日々ニュースを見て、世界で何が起きているかチェックする習慣をつけておくといいと思います。せっかく日本のいい仕事を蹴って海外の作品を選んだのに、政治的な問題で中止になった、などという目に遭ったらもったいないですから。

あとはやはり演技力ですよね。僕が行った頃はブルース・リーのようなアクションができるかとか、武道や格闘技の心得の有無とか、何より英語の発音が重視されましたが、サブスクでの動画配信が全盛の今、海外でも字幕の作品が普通にヒットしています。

昔のハリウッド映画には、「作中のセリフの〇%が英語でなくてはいけない」「映画が始まって最初に聞こえてくる言葉は英語でなければならない」など、いろいろなルールがありました。でも今は『パラサイト 半地下の家族』のように、全編韓国語でも世界で評価される。そういう時代になったのだから、英語に縛られてたどたどしい演技になるくらいなら、日本語で堂々と自分の芝居を見せたほうが何倍もいいと思います。

(写真撮影◎本社 奥西義和)