神津恭介シリーズ『わが一高時代の犯罪』に出演します

映像の仕事ばかりしてきた僕が、初めて舞台に立ったのは45歳の時でした。それまで挑戦しなかったのは食わず嫌いと言いますか、要は自信がなかったからです。同じ演技とはいえ、映像と舞台とでは短距離走と長距離のマラソンくらい違いますから。でもいざやってみたら楽しくて、なぜもっと早く挑戦しなかったんだろうと後悔しました。

そしてこのたび新たな舞台、神津恭介シリーズ『わが一高時代の犯罪』に出演させていただくことになりました。僕は貪欲で野心家の実業家、水町泰蔵を演じます。

もともと僕は推理ものが好きなんです。それこそ『金田一耕助シリーズ』とか『オリエント急行殺人事件』、明智小五郎とか。それでこの作品もオファーをいただいた際、まず探偵ものということでストーリーが面白そうだなと。と同時に、コロナ禍でしばらく舞台から離れていたこと、その間にあらためて舞台の可能性・必要性を感じていたことも出演を決めるきっかけになりました。

今はAIが、ものすごい勢いで進化しています。このままいくと、現場では役者の顔だけを撮影して、あとはCGで映画を作る、などという時代が来るかもしれない。そんな中で役者が自分の足で立ち、自分の声で思いを伝えられるのは何かと言ったら、もう舞台しかないような気がするのです。人間じゃないとダメな、非バーチャルなもの。芸は身を助くじゃないですが、最後に残るのが舞台なら、今のうちにしっかりやっておかなくては、と思ったのです。

この舞台ではミステリー要素のほか、神津恭介の初恋なども描かれます。きっと楽しんでいただけるものになると思いますので、ぜひ劇場に足をお運びください。

「コロナ禍でしばらく舞台から離れていたこと、その間にあらためて舞台の可能性・必要性を感じていたことも出演を決めるきっかけに」(写真撮影◎本社 奥西義和)