陽子さんの怒りは、かなり長いこと続いたけど…

この陽子さんの思いは。かなり長いこと、思い出すだに頭にくるっていう形で、続いた。だが。

正彦さんが嘱託になり、ある程度家事を手伝ってくれるようになったある日、正彦さんの方からこう言って貰えたので、解消された。

「……あー、陽子。だいぶん前だけど、俺、みっともなくてトイレットペーパー、買って帰れないって言ったこと、あった、だろ?」

あ。陽子さんはもう忘れようがなく、死ぬまでこれを覚えていようって思っていたんだけれど……正彦さんの方も、こんなこと、覚えていてくれたのか。

「……あれは……申し訳、なかった」
おやまあ。
「長時間、家にいるようになって判った。トイレットペーパーは、絶対に必要だ」
そうだよ。
「あれを買って帰ることをみっともないって思っちまったのは、俺の不見識だった。あの言葉は、悪かった」
「ん」

ここで、陽子さん、にっこり。

こういうことを言ってくれるから、陽子さんは、正彦さんのことが好きなのだ。