髪の毛を吹くネタのきっかけ

あれができたのは40歳過ぎの頃でした。楽屋で相方がいきなりカミングアウトしたことがきっかけでした。

出番の合間、楽屋で横山たかしさんとしゃべってたんです。「40歳を過ぎると、いろいろ体にもガタが来るもんやな…。ワシも胃が良くないから、すぐ胃もたれするし、薬を飲まないといけないし、年は取りたくないもんや」。そんなことをたかしさんが言ってたら、それを楽屋の端で聞いていた相方がこちらに向かって声を上げたんです。

「薬で治る胃もたれはいいけど、こっちはもうどうにもならんねん」

髪の毛をオールバックにして、大きく露出した頭皮を見せてきたんです。(笑)

いや、びっくりしました。それまで僕は相方がいわゆるハゲ隠しをしていたことを知らずに、薄毛であることも知らなかったんですけど、楽屋でのノリが盛り上がったことがそうさせたのか、自ら薄毛ボケみたいなことをやってきた。

(撮影◎中西正男)

そして、たまたまその日の漫才が夫婦げんかのネタで、その中でドライヤーが出てくる場面があったんです。さっきのやり取りが頭にあったので、僕がアドリブでドライヤーよろしく相方の髪の毛をフッと吹いた。髪の毛が舞い上がって頭皮が丸見えになる。これが、ドーンと音がするくらいウケたんです。

僕もマジで笑ってしまって笑いが止まらんくらいやったんですけど、そこからネタの中に髪の毛を吹く流れを入れるようになっていきました。