(写真提供:Photo AC)
デジタル時代の今、インターネット上では過度に加工された顔があふれています。なぜ、人間は《理想の顔》に取り憑かれるのでしょうか。そのカギとなる「脳の働き」に、大阪大学大学院情報科学研究科で身体・脳・社会の相互作用を研究する中野珠実教授が、最新科学で迫ります。中野先生によると、生後6ヵ月の赤ちゃんは、人の顔どころかサルの顔まで見分けられるそうで――。

赤ちゃんはサルの顔も見分けられる

生まれたばかりの赤ちゃんは、皮質下の生得的な機構により積極的に顔を見つけ出し、そこに目を向けていると推測されます。

その結果、顔に関する視覚情報が大脳皮質にもたくさん入るようになり、その情報をもとに、顔を認識するための神経ネットワークが生後数ヵ月の間に急速に発達すると考えられているのです。

生後5ヵ月頃には、人種による顔の違いや表情を見分けることもできるようになります。

このように、発達に伴い顔の認識能力が高まる一方で、実は失ってしまう能力もあります。それを見つけたのはフランスのオリヴィエ・パスカリスのグループです(*1)