ツッパリ大関と呼ばれた、九重親方

九重親方 :「相撲界が他のプロスポーツと根本的に違うのは『**部屋』という制度に表れています。チームではなく部屋ですから、稽古場から生活の場まで、すべてにおいて厳しいんです。

しかも、師匠は九重(元横綱・千代の富士)ですから。あの顔を思い出してみてくださいよ。あの目でグッと睨まれたら、普通の人なら縮み上がるかもしれません。その師匠の目が、部屋には常にあるわけですから、それは厳しいに決まっています。

ご存じの方もいると思いますが、現役時代、俺は『ツッパリ大関』と呼ばれていました。相撲のスタイルが突き相撲だったためですが、入門前に“やんちゃ”をしていたことも影響しているのでしょう。

九重親方(元・千代大海)。現役時は”ツッパリ大関”とも呼ばれた(写真提供:幻冬舎)

SNSにはいろいろな“武勇伝”が出てくると、弟子から聞きました。

『小学校5年で体重が100キロあり、家の前にタバコを捨てた高校生に怒り、投げ飛ばした』とか『中学では街の不良を片っ端からぶっ飛ばし“大分の龍二”という名が九州全域に轟(とどろ)いていた』とか『中学卒業後はとび職に就き、九州一の暴走族を率いて、やくざからもスカウトされた』などと書かれているそうですが、まあ、おおむね本当のことです。」(以上、九重親方)