「自分との約束を果たすためにも後には引けないぞという気持ちがありましたね」

やっとスタートラインに立った

大学院へ進学すると周囲の人に報告したら「まだやるの?!」と言われてしまうのですが、私としてはやっとスタートラインに立ったという感覚でいます。大学院では民俗学の研究をして、赤米神事に限らず、日本全国におけるお祭りを継承していくことの意義を探求していきたいと思っています。

もちろん歌手としての活動も全力投球で続けていきたいです。近年になって私は自身のコンサート活動だけではなく、神社での歌唱奉納をさせていただく機会に恵まれ、2017年の伊勢神宮の内宮、外宮、鹿島神宮の創祀2680年祭の時も歌わせていただきました。

正しい時、正しい場所、正しい自分の行いの3つが揃わないと神様に呼んでいただけないといつも考えていたので、これ以上にない喜びでした。

私はロック歌手ですが、伊勢神宮であれば伊勢神宮のために書いた歌を捧げるため、その曲は「動」ではなく「静」の曲になります。そのため最初はファンの皆さんから「相川七瀬は一体どうしてしまったのか?」「路線を変更したのか?」という声があがっていたようです。でも私の中では元気で激しい自分と、鎮魂歌を歌うような静かな自分がいて、50歳を目前としてようやくその「静」と「動」が合流点を迎えつつあると感じています。おそらく60歳あたりで完全に融合するのではないでしょうか。いずれにしても、神社で歌唱奉納をするたびに、神様からプレゼントをもらっている気がして、それがまた明日からの自分の活力になっています。