サ高住
定年退職後にどこに住むかと考えた時、候補として、普通の民間賃貸か、UR賃貸か、それともマンションを購入するしかない、とモトザワは当初考えていました。ところが、紀美子さんの話を聞いてびっくり。まだ体も効く60歳から、早くも「サ高住」(サービス付き高齢者住宅、「高齢者」住宅ですよ!)に住んでしまう選択肢もあるなんて。
たしかにサ高住ならば、普通の民間賃貸のように年齢差別で入居を断られることはありません。死ぬまで住み続けられます。その手があったかと思う半面、やはり、どこまで行っても地獄の沙汰は金次第だろうと、モトザワは思います。
サ高住を調べてみると分かります。首都圏だと、普通の分譲マンションよりも安くて狭い物件か、億単位の入居金が必要な高級物件になってしまいます。
例えば、横浜市内のある物件は、45平米の部屋に80歳で入るとして入居時一時金を約5000万円払ったうえに毎月の利用料が約20万円。入居一時金を払わないなら、毎月、家賃と施設費などで最低約50万円(食事代などは別途)かかります。
もし、もっと若いうちから入居するなら、入居期間の家賃の全期前納にあたる入居時一時金はもっと高額になるでしょう。
つまり、それなりのグレードのサ高住に住みたいなら、やはり地方に行くしかないということです。でも地方だと、車がないと生活に困るでしょう。……いつも、この堂々巡りです。なんだかなあ、と思ってしまいます。
◾️本連載をまとめた書籍『『老後の家がありません』(著:元沢賀南子/中央公論新社)』が発売中