ケルト文化
アイルランドの歴史は古く、初めてアイルランドに人類が現れたのは、紀元前7500年ごろ旧石器時代とされています。そしてその後、紀元後600年ごろにキリスト教が入るまで、多神教的なケルト文化がアイルランドで発展しました。
このアイルランドのケルト文化は、ドルイド教と言う宗教が基本になっていたようです。このドルイド教は、神官が儀式やお告げを行っていたと考えられていて、太陽と大地の古い神々を信じ、あらゆる生き物の中にも神の存在を見いだしていた多神教でした。
また「自然」と「宇宙」と「自己」を一体化し、「霊魂の不滅」や「輪廻転生」などのキリスト教徒とは全く違った考え方をしていました。
日本の神道に近い考え方ですね。
特に興味深いのがケルトのシンボル「渦巻模様」です。この「渦巻模様」は「ジャイア」と呼ばれていて「全てには上も下もなく、大きな渦の中に平等に存在している」という考え方を表しているのだそうです。
これは「始まりも終わりもない世界」や「霊魂の不滅」や「輪廻転生」そして「全てのものが交わり流れる象徴」でもあるそうです。
これはローマやギリシャ、ゲルマンなどの他のヨーロッパ圏が使う「直線」による明確さや、まさにピラミッド型のヒエラルキーを元にした社会の作り方とは全く異なる文化です。
そして、このケルト文化は今でもアイルランドの人々のアイデンティティーとして根強く生きています。
例えばアイルランドでは世界に先駆けて2015年LGBTの結婚が国民投票によって認められました。カトリックの国としては異例中の異例です。これも「渦巻模様・ジャイア」が象徴する「全てには上も下もなく、大きな渦の中に平等に存在している」というケルト文化の考え方が国民に生きているからと言われています。
このケルトの神話もユニークです。神や妖精と人間が結婚し子どもが生まれたり、人がいろいろな動物に生まれ変わったり…。これも「大自然の中で、生きとし生ける全てのものの魂が絶えず巡っている」やはり「渦巻模様・ジャイア」が象徴するケルトの世界観がしっかり出ています。