苦闘を続けながら歴史を刻んでいる

さて、「荒れる春場所」といわれるが、いつから荒れだしたのかと思い、横綱の栃錦、若乃花、朝潮、大鵬、柏戸が活躍した昭和30年代の『大相撲画報』(朝日新聞社刊)を読んだが、「荒れる」の言葉はなかった。

そして昭和35年5月1日号の「大相撲太平記『昭和動揺期編』」(彦山光三著)という連載を見つけた。大阪方と東京方の相撲が別々にあり、昭和2年1月5日に「合体」を発表したことが書かれていた。

私は業界新聞社の記者をしていた時、何度も企業の合併の記者会見に行ったが、株価に影響するので発表までは極秘で、会見前に会場に行ってもテーブルに資料が載っていなかった。対等の合併とはいえ、両社にあるシステムや工場をどうするか、人員をどうするかで苦闘する会社もあった。

東京の力士と大阪の力士を一緒にして番付を編成することは、さぞや大変だったことだろうと思ったが、「大相撲太平記」を引用すると、「いわば沈衰期のこと。横綱・三役あたりが一こうぱっとしないことはいうまでもなく、全体的にも大した新鮮味・溌剌味・豪華味など、どうさがしたってみいだすことも、うかがうことも、かぎつけることもできなかった」と厳しい批判が繰り広げられていた。

大相撲の世界は、苦闘を続けながら歴史を刻んでいることを、しみじみと学んだ。

※「しろぼしマーサ」誕生のきっかけとなった読者体験手記「初代若乃花に魅せられ相撲ファン歴60年。来世こそ男に生まれ変わって大横綱になりたい」はこちら

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