ふわふわと漂っているのが監督

お休みのフランス人医師に無理言って診察してもらい
処方された薬飲んだら症状が悪化したりしながらも
結局日本人医師のいるアメリカ人向け病院を鷺巣さんに見つけてもらって
ことなきを得た。

飛行機で風邪ひいて免疫が弱っているところに
空港で溶連菌(ようれんきん)に感染してしまったようだった。
医師からは子供がかかるようなやつですよ、とこともなげに言われたが
自分としては死にかけた気持ちだった。

特にフランス人医師から症状を尋ねられたときに
英語で正確に自分の状態を伝えられなかったことが致命的だったので
日本に帰ってから英会話を習ったりした。

監督との旅の思い出をたくさん書こうと思っていたのに
なんだか自分のことばかりになってしまった。

旅先ではホテルとのやりとりやお店での会話も
大体私が担当で監督は存在感が薄いせいかもしれない。
乗り物選びについてのみ強く主張してくるけど
それ以外はふわふわと漂っているのが監督なのだ。

※本稿は、『還暦不行届』(祥伝社)の一部を再編集したものです。本文の体裁は書籍掲載時のままとなっています。

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