(写真提供:Photo AC)
どんな仕事もスポーツも勝って成果を上げるためには、妥協せず自分を追い込むほどの厳しさが欠かせません。一方でハラスメントを恐れるあまり、「ぶれなさ」「必死さ」を次の世代にうまく伝えられないリーダーが増えているのではないでしょうか。国内外の経営者が師事する「心身統一合氣道会」会長藤平信一氏のもとにも、指導者の悩みが多く寄せられています。厳しさとハラスメントの根本的な違いは何なのか?多くのリーダーを見てきた藤平氏がその経験をもとに語ります。

相手に争う心を起こさせない

私は心身統一合氣道という武道を国内外で指導しています。

心身統一合氣道は「武道」ですが、「格闘技」ではありません。何が違うのか? 目的が違うのです。格闘技はルールに基づき相手を倒すことを通じて、精神的にも、肉体的にも鍛えられます。これに対し、心身統一合氣道は「いかに相手と争わないか」が主な目的です。

「武道」とは「戈(ほこ、武器)を止める道」と書きます。“争わない”というのは、争いから逃げることではありません。

自分の中に争う心を起こさないこと。相手に争う心を起こさせないことです。その結果、相手と争わずに済むのです。そのために求められるのは、自分を厳しく律することです。

そして、自分を律するには、強い心と強い体でなければなりません。このために厳しい鍛錬が必要なのです。合氣道は武道の一つです。合氣道は、相手の関節をひねったり、投げたりするイメージがあるでしょう。

しかし、心身統一合氣道では、この奥にあるものを大事にしています。