「メタ認知」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「メタ」とは「高次の」という意味で、つまり認知(記憶、学習、思考など)を、高い視点からさらに認知することを指します。三宮真智子大阪大学・鳴門教育大学名誉教授によれば「メタ認知は自分の頭の中にいて、冷静で客観的な判断をしてくれる<もうひとりの自分>。活用次第で頭の使い方がグッとよくなる」だそう。先生の著書『メタ認知』をもとにした本連載で、あなたの脳のパフォーマンスを最大限に発揮させる方法を伝授します!
自分を被験者に
眠ることが大好きな著者は、中学の頃から自分を被験者にして「眠り」にまつわる実験もいろいろと行いました。
そして、実験の末に得た自分なりの大発見に、「就寝前記憶効果」(注:当時の私が勝手に名づけたもので、心理学用語ではありません)があります。これは、眠りにつく前の時間帯に入力系の勉強をしておくと効率がよいというものです。
わずかな手間で、頭が勝手に覚えてくれるといった感じです。ちなみに入力系の勉強とは、覚える(記憶する)勉強のことです。問題を解く、あれこれ考えるなどの思考系の勉強は、これに当てはまりません。
当時、就寝中の脳の働きについての知識などまったくなかった著者には、この就寝前記憶効果が不思議でなりませんでした。眠っている間に、頭の中でいったい何が起こっているのだろうと、よく考え込んだものです。
原理はわからないものの、効果が歴然としていたので、就寝前は記憶の時間にすることにしました。すると、副次効果として、何かを真剣に覚えようとしてから眠りにつくと寝つきもよくなるという「おまけ」までついてきました。
たぶん、単純な記憶作業が少々退屈だったのと、脳が疲労したことも原因だったのではないかと思います。