衰えはあって当たり前
若い人が着ているからと、同じファッションを追い求める必要がありますか。メイクも、厚塗りメイクや派手なメイクで、若く見せる必要がありますか。
周囲の目には、「そこまでして若く見られたいのかなあ」「あ~あ、あんなに若ぶっちゃって」とあまりにも悲しい結果に映っているかもしれません。
これまで歩んできた年月は、それなりの風格も味も培ってきています。若い世代にはない、その風格や味を否定的にとらえるのは、自分の人生そのものを否定することにもつながるのではないでしょうか。
若さにしがみつかず、「衰えはあって当たり前。頑張って生きてきた自分の偽りのない姿よ。このままの自分で生きていくからね」というほどほどの姿勢でいたほうが、きっと心おだやかに生きられると思います。
こうして人生楽しく生きている姿を見れば、若い世代も「あんなふうに年を重ねられたらいいな」と思うはずです。
保坂隆さんの連載「人生を楽しむ ほどほど老後術」一覧
出典=『精神科医が教える 人生を楽しむ ほどほど老後術』(著:保坂隆/中央公論新社)
保坂隆
保坂サイコオンコロジー・クリニック院長
1952年山梨県生まれ。慶應義塾大学医学部卒業後、同大学精神神経科入局。1990年より2年間、米国カリフォルニア大学へ留学。東海大学医学部教授(精神医学)、聖路加国際病院リエゾンセンター長・精神腫瘍科部長、聖路加国際大学臨床教授を経て、現職。また実際に仏門に入るなど仏教に造詣が深い。
著書に『精神科医が教える お金をかけない「老後の楽しみ方」』(PHP研究所)、『精神科医が教える 繊細な人の仕事・人間関係がうまくいく方法』(三笠書房)、『精神科医が教える すりへらない心のつくり方』(以上、大和書房)、『頭がいい人、悪い人の老後習慣』(朝日新聞出版)、『精神科医がたどりついた「孤独力」からのすすめ』(さくら舎)などがある。