今年1月からNHKで放送中の大河ドラマ『光る君へ』。主人公は平安時代のベストセラー『源氏物語』を書いた紫式部。そんな彼女と同じように、近代の女流歌人として活躍し、『源氏物語』の翻訳を3度試みた与謝野晶子。今回は与謝野晶子が書いた評論集の中から、選りすぐりの言葉や詩を紹介します。与謝野さんいわく、「私たち一人ひとりの行為は社会とつながっている」そうで――。
愛は感情だけではダメ
「愛」を確かなものにするには、感情ばかりではダメです。
「愛」には理性の協力が必要です。何を愛すべきか、いかに愛すべきか、ということには、自分の考えをしっかりもつこと、理性の判断が加わらなければなりません。
結婚するにしても、「ただ相手の男を愛する」というのではセンチメンタルな愛であって、現代の恋愛としては恋愛の名に値しないと言ってもよいでしょう。
私たち一人ひとりの行為は、どんな小さな行為であっても社会とつながっています。
だから恋愛も、二人が幸福な生活に導かれるなら、それだけにとどまらず社会を幸福にします。
反対に、恋愛が二人を不幸な結果に導くなら、結果的に社会にも迷惑を与えることになります。
それを考え、男も女も、相手と自分との共通点と違いとを十分に認識しなければなりません。
理性に裏打ちされた感情でなければ確かな感情とは言えないのです。
「女子の独立」(『優勝者となれ』より)