人を元気にする大相撲の力

第一幕は「熱唱のど自慢〜北陸に捧げる応援歌〜」。大栄翔、阿武咲、輝、平戸海、高安という横綱級歌唱力を誇る力士が土俵上で歌う。平戸海が「ライジングサン」を歌う時、館内は暗転。観客たちはスマホのライトを振って盛り上げ、美しかった。

私の横と後ろは英語や英語以外の言葉を話す外国人たちで、栃満と和歌桜の「初っ切り」が始まると、「相撲コント」という声がした。

土俵は広く使うべきと分かる初っ切り(写真提供:著者)

「熱戦五番」は、音羽山親方(元横綱・鶴竜)、東関親方(元小結・高見盛)ほかが登場するOB戦。東関親方は、制限時間いっぱいになると顔を叩き、体を叩き、両肩を動かすという独特のルーティンをして「ロボコップ」と言われていたが、同じ動きを披露してくれた。

第2幕は、横綱・照ノ富士の堂々たる土俵入に感激。

横綱・照ノ富士の土俵入り(写真提供:著者)

ただし、幕内力士の土俵入りも良かった。観客から声がかかると、力士が土俵上で手を振るという、本場所でやったら八角理事長に叱られる光景を堪能できた。

人気力士が登場する19番の取組は、富山県出身の朝乃山、石川県出身の大の里、遠藤、輝、欧勝海の4人ほかが活躍し、観客たちの拍手と声援を浴びた。

正代と御嶽海の対戦は、二人の真剣に見えてユーモラスな動きに観客たちの笑いが起こった。取組は物言いがついたが、本場所の5人の審判と違い審判は二人だけ。取り直しとなり、正代は寄り切ろうとしても御嶽海がなかなか土俵から出ないので、御嶽海の胸をペチペチと何度も叩き、相撲コントのようだった。

復興支援のために作られた相撲甚句を春日山親方(元関脇・勢)が唄い、櫓太鼓の打分もあり、3時間にわたる勧進相撲は弓取式で終了。人を元気にする大相撲の力を感じた。