(写真提供:Photo AC)
訪れた温泉は約500湯、女ひとりで温泉を巡りまくっているという永井千晴さん。旅行情報誌編集部で働いた経験を活かし、現在は「温泉オタク会社員」としてブログなどで温泉情報を発信しています。その「温泉オタク会社員」こと永井さんが温泉の楽しみ方を紹介する当連載。今回のテーマは「箱根・熱海をひとりで遊ぶとしたら」です。

箱根・熱海をひとりで遊ぶとしたら

ひとり客には不向きな面があるとはいいながらも、東京からほど近い箱根・熱海が気になる人も多いはず。

以前、同世代の女友達と箱根へ日帰り旅行しに行ったときも、彼女たちは「実は来たことがなかった」「何があるのかよくわからない」といっていたので、なるほど確かに、温泉をたしなみたい女にとって、箱根と熱海はわかりやすいファーストステップになるよなあ……と思ったのでした。

何年か前にひとりで箱根を訪れたときは、日帰り入浴施設「秀明館」目当てで行きました。

温泉評論家が雑誌で「秀明館に行くと、『箱根にもこんなにすばらしい湯があるのか』と驚く」「箱根で一番いい湯だと思うのは秀明館」とコメントされているのを見て向かったのでした。箱根の奥にあるのですが、一応近くにバスも通るので、公共交通機関でも行けるのが◎。

一度目は改装中で入れず、二度目の正直でようやっと浸かれました。営業時間のほとんどは部屋貸しプランだけであるため、オープンと同時に部屋が埋まってしまうことも。

館内は手入れの行き届いた趣ある旅館風情。湯場ではシャンプー・石鹸などは使えず、体を流して浸かるだけ。湯船の目の前にはしめ縄の飾られた巨岩があり、厳かな雰囲気です。湯船の底から湧いてきた湯にそのまま浸かれる“足元湧出”の温泉で、新鮮そのもの。

箱根にもこんな温泉、あったんだ! サイコー! と、大興奮でした(箱根はモダンな温泉が多く、景観やデザインが重視されがちなので、湯の新鮮さが際立っているところは少ないのです)。