24年4月より放送中のNHK連続テレビ小説『虎に翼』。伊藤沙莉さん演じる主人公・猪爪寅子のモデルは、日本初の女性弁護士・三淵嘉子さんです。先駆者であり続けた彼女が人生を賭けて成し遂げようとしたこととは?当連載にて東京理科大学・神野潔先生がその生涯を辿ります。先生いわく「嘉子は筆記試験の後、あまりの出来の悪さに、家に帰った瞬間に玄関で泣き崩れてしまった」そうで――。
試験に合格
1938(昭和13)年3月に明大法学部を卒業した嘉子は、同年に高等試験司法科を受験しました。
2年前の1936年に初めて女性が受験していましたが、その年は合格者はなし、1937年には明大法学部在学中の田中正子(後の中田正子)が筆記試験を突破しましたが、残念ながら口述試験で不合格になっていて、この年も女性合格者はいませんでした。
筆記試験は7科目あり、論文式で、何日にも渡って行われます。
嘉子は試験に向けて半紙を二つ折りにしたQ&Aのノートを自ら作って勉強しました。