嘉子の生涯を貫く重要な「哲学」
この時、多くの新聞記者が、弱い女性を救うために弁護士となったという物語で嘉子のことを捉えようとして質問を繰り返した、と嘉子は後に語っています。
しかし、自身が弁護士を志した動機は弱い女性を救うためではなく、(女性を含む)困っている「人間」の力になるためであったと、後に嘉子は振り返っています。
嘉子は女性であるという自覚よりもむしろ、人間であるという自覚の中で生きていて、これは、嘉子の生涯を貫く重要な「哲学」だったと言って良いでしょう。
ただ、試験に受かったばかりの嘉子の心に、そこまでの確かなイメージができあがっていたかはわかりません。
談話にある通り、「世の為、人の為、自己の最善を尽したい」という思いは強くあったでしょうが、それを後に語るほど心の中で整理できていたわけではないかもしれません。