私たち全員が「老いの初心者」

坂東 世田谷区の男女共同参画推進事業のお力も借りて、保育園やアフタースクールを通じて働くお母さんたちや子どもたちへの支援に力を入れてきました。高齢社会に向けての活動は、まだまだこれからです。

樋口 坂東さんも私も、お手本が少ない時代にあって、女性の地位向上のために活動してきたじゃない? でもそんななかでも、先頭を走る先輩たちもいらっしゃいました。お名前をあげればキリがありませんが、私にとって秋山ちえ子先生や吉沢久子先生が、その代表でした。

「らぷらすフェスタ講演会」では、たくさんの聴衆が話に耳を傾けた。(写真:『人生100年時代を豊かに生きる ヨタヘロしても七転び八起き』より)

本当にいろいろなアドバイスをくださいました。たとえば秋山先生は、まだ血気盛んだった私が「男女別姓がいつまでたっても認められないのはけしからん」とか「これだから日本は世界に比べて遅れをとるのだ」なんて、わぁわぁまくしたてるでしょう。そうすると、いつも慰めてくださるんです。

「樋口さん、そりゃ日本はひどいと思うわよ。だけど、50年単位で考えましょうよ。今すぐは無理でも、未来は必ず変わるから」と。ただ、変わるためには、誰かが「ここがおかしい」と声を上げ続けなきゃいけない。「だから、言い続けてくださいね」とおっしゃってくださいました。

老いの問題も同じじゃないでしょうか。日本は、世界に先駆けて超長寿社会という未知の世界に足を踏み入れたばかり。私たち全員が老いの初心者です。だから、今気づいたこと、「こうしたほうがいいよ」ということを、私たちがどんどん言い続けていかなきゃね。