キッコーマンとの出会い
そんな私がキッコーマンに拾っていただいたのは、学生向けの新卒採用枠ではなく、外国人採用枠でした。一般的な就活シーズンはとっくに終わっている時期に、たまたま見つけたのです。
私の父は発酵の研究もしていましたから、醤油(しょうゆ)という大豆を発酵させて作る調味料のメーカーに多少の縁や興味を感じなかったわけではなく、運良く最終面接まで進むことができました。
でもそれまでの経験から、面接にはあまりにも嫌気がさしていました。ほとんどトラウマと言っていいくらいです。
そこで私は「ここも絶対に落ちるから、代わりに弟を面接に行かせよう」と思ったのです。今から考えれば信じられない発想ですが、当時は面接に行くことをそれだけ無謀に感じていたのです。
7歳下の弟と私は髪の色が違いましたから、ドラッグストアでスプレーを買って弟の髪の色を私にそろえてもらい、スーツを着せました。ところが兄弟なのにあまりにも似ておらず、弟の見た目が幼かったため「これはムリだ」と我に返り、ダメ元で自分で面接に向かいました。そして奇跡的に内定をいただくことができたのです。
他の会社にはことごとく落ちたのにキッコーマンが採用してくれた理由は当時はまったくわからず、内定の連絡を受けたときは何かの間違いだとさえ思いました。
ただ、今思えば、それも相性というか縁だったと思いますし、採用してもらって感謝の気持ちでいっぱいです。なので、就活のアドバイスだけは私に相談するのはあまり相応(ふさわ)しくないかもしれません(笑)。