体温で自律神経のバランスがわかる
「体内時計」という言葉を、どこかで耳にしたことがある人も多いことでしょう。
人には、体温やホルモンの分泌などのさまざまの体の働きを保つ機能として、24時間周期のリズム(概日(がいじつ)リズム=サーカディアンリズム)を刻む体内時計が備わっています。
体内時計の働きにより、意識していなくとも日中は活動的になり、夜になれば眠くなります。この体内時計のリズムに従って、私たちの体温は起床直後から上昇し、昼食後の午後2時頃にピークに達し、そこから徐々に低下して、睡眠時に最も低くなるように設定されています。
理想は、下にあるグラフの体温変化です。
実は、フワフワめまいの人の体温の日内変動を見ると、このような標準的な変動になっていないことが多いのです。
1日じゅう体温が低いままであったり、夜になって体温が上昇してしまったり、というような体温変動の変調がしばしば見られます。
例えば、めまいに悩む80歳の女性の体温の日内変動を見ると、夜になって体温が上昇していました。
また、やはりめまいに悩む47歳の女性は、昼に体温が下がっていました。
こうした体温の日内変動に変調が起こっているということは、すなわち体温をコントロールしている自律神経のバランスの乱れの現れと考えられます。
図の下にある体温変化のグラフは、めまいと耳鳴りに悩んでいた38歳の女性のものです。
それまでの食事では、体温の日内変動は、ある程度は山なりではあるものの、平坦な変化に留まっていました。
しかし、私の指導によって食事を変えると、体温は朝は低く、昼は以前よりも高くなり、夜は再び低くなるようになりました。1日の体温の変化に、明らかにメリハリがつくようになったのです。
こうした体温変化によって、自律神経の乱れが整い、めまいなどの症状も改善に向かいました。