祖父とお地蔵さんの思い出
幼少のころ、私はよくお地蔵さんや、お寺にお参りをしました。
今でもうっすら記憶の中に、祖父と参ったお地蔵さんが浮かんできます。
山の小さな祠(ほこら)に祀(まつ)ってあるかわいいお地蔵さんには、赤い前掛けが掛けてありました。
祖父はお祈りをしたあと、お供えの水を笹の葉ですくい、痒(かゆ)くて赤くなった私の目に何度か振りかけてくれました。
「目にありがたいお地蔵さんで、このお水のおかげで恵美子と同じように目が赤くなり、痒(かゆ)くて困っていた子の目がようなった(良くなった)そうだ。お地蔵さんに頼んだら恵美子の目もようなる。どうか治してくださいってお祈りするだ」
祖父や祖母が大好きだった私は、いわれるままお祈りし、お供えの水で目を濡らしながら、「ようなりますように」と祈ったものです。