一見健康そうに見える人でも、他人にはわからない悩みがあるもの。

大人になってからも状態は良くならず、赤目と痒(かゆ)みに悩み、25歳のころに「痒(かゆ)みの原因は睫毛乱生(しょうもうらんせい)だ」と診断され、逆さ睫毛(まつげ)であることがわかりました。

一見健康そうに見え、日常生活にはなに一つ不自由がなくても、人には他人にはわからない痛みや悩みがあるものです。

お地蔵さんのご利益は気休めでしかなかったかもしれませんが、今も健康に恵まれ、守られている自分を喜び、祖父や祖母が「女の子だで(女の子だから)、顔は大事だで(顔は大切)。なーなんなっとしてやらな(なんとかしてやりたい)」─そういいながら、注いでくれた深い愛情に心から感謝しています。

先日、生まれて初めて「やさしいまなざし」だと、私のしょぼくれた目を褒(ほ)めていただけることがありました。

亡き祖父母にも伝えたい、そう思いました。

※本稿は、『93歳、支えあって生きていく。』(Gakken)の一部を再編集したものです。


93歳、支えあって生きていく。』(著:細井恵美子/Gakken)

「普通に暮らすことができれば、それが一番のしあわせです」

93歳の現役介護職員が実践している、毎日を明るく楽しく生きていくための心得をまとめた一冊。

周りの人々と助け合いながら、ともに生きていくためのコツがたっぷり詰まっています。