身近だった感染症

私が子どもの頃は、病気といえば感染症を思い浮かべました。

小さな子どもたちが赤痢(せきり)や百日咳(ひゃくにちぜき)などで亡くなり、はしかや天然痘(てんねんとう)も身近な病気でした。

『ウイルスは「動く遺伝子」』(著:中村桂子/エクスナレッジ)

病原体であるバクテリア、ウイルス、寄生虫、真菌(しんきん)などが体の中に入って悪さをするのが感染症です。

けれども、結核などバクテリアの感染症は抗生物質による治療、ウイルス感染症などはワクチンを用いた予防が普及し、公衆衛生の改善で寄生虫は日常から消えて、感染症への対処はできるようになったというのが、一般的な受け止め方になってきました。

少なくとも日本を含めて科学技術の発達した国では、感染症はいわゆる風邪くらいで、2、3日休めば回復する病気と考えられるようになりました。