知識と日常をつなげること
科学の知識が増えれば増えるほど、知識と日常のギャップは大きくなります。
「生命誌」では、知識と日常をつなげることを大事にしています。でも、実際にウイルスによるパンデミックを体験し、それは難しいことなのだと実感しました。
難しいから仕方がないではなく、やはり知識を日常とつなげるよう、ウイルスについて考えていこうとしています。
自然界は複雑で、予測不能だからこそ興味深いのですから、予測できないことをマイナスと捉えず、生命誌のなかのウイルスに正面から向き合ってみようと思っています。
「生命誌のなかのウイルス」を考えると、まず新型コロナウイルス・パンデミックをどう受け止めるかが見え、さらにはウイルスとは何かということが見えてくるはずです。
それはおそらく私たちの世界観(価値観)、これからの生き方に、大事な示唆を与えてくれるに違いありません。
※本稿は、『ウイルスは「動く遺伝子」』(エクスナレッジ)の一部を再編集したものです。
『ウイルスは「動く遺伝子」』(著:中村桂子/エクスナレッジ)
生きものの世界を縦横無尽にダイナミックに行き来する 「動く遺伝子」の世界をはじめて明確に分析。
新型コロナウイルスによるパンデミックから、ウイルスはどのように私たちの日常生活に関わっているのか?
ウイルスを知り、的確なふるまいをすることで、本当の「私たち人間の生き方」がわかってくる。