生きもののあるところにウイルスあり

ウイルスの本態を知れば、撲滅という対象ではないことは明らかです。

コロナウイルスに限らず、さまざまなウイルスを考えれば生きもののあるところにウイルスありという形で生態系ができてきたとしか考えられませんから、共存するしかありません。

『ウイルスは「動く遺伝子」』(著:中村桂子/エクスナレッジ)

共存ということは、お互い関わり合わずにそれぞれ存在していきましょうという形ではないことは明らかですし、ウイルスの本質から考えて、私たちの細胞に感染して、時に死に至る症状を引き起こすこともあることが分かっているのですから、どのように付き合うかをよく考えなければなりません。

細菌は、基本的には私たちと同じ細胞でできていますから、病原体の場合、細胞が生きることのできない環境をつくって対処できます。

抗生物質の利用は、細菌(原核細胞)と私たち人間(真核細胞)をつくっている細胞の生き方の違いをうまく使って、細菌だけを生きられないようにするという巧みな戦略です。

ウイルスは自分だけでは増えることができず、私たちの細胞を利用しており、独立した存在ではないだけに厄介です。

でもそのような存在だからこそ、遺伝子としての歴史を残してきたのだといえます。