40歳以降は発達の流れが変化する

この「中年の危機」は、心理学者エリクソンの「心理社会的発達理論」で説明することができます。

「人生には何度か壁が出現する。それを越えることで、心理的に成長していく」という考え方です。

人は40歳くらいまでは、新しい感覚や知識を得ることを軸に発達していきます。

この世に誕生後、身体も精神も成長していき、社会に出て、生き方を選び、自分の家族をつくり、愛を得て成長していく。だいたい40歳で成長のピークを迎えます。

それ以降は発達の流れが変わります(下図)。

エリクソンの心理社会的発達理論より。人間の心理的な成長の潮目は40歳で変わる<『「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』より>

人生の終着点に向かった発達に変化し、次世代を担う人たちに、持っているものを渡し始めるのです。

「得る」から「減らす」へと変わる時期。今までとは、発達の潮目が変わる時期。

エリクソンはそこまで言及していませんが、私は、この潮目が変わり、これまでと違う感覚に戸惑う「ミッドライフクライシス」こそ、「40歳の壁」の正体だと考えています。

 

※本稿は、『「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。


「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』(著:尾石晴/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

人生100年時代を迎え、これからの生き方・働き方に不安を感じているあなたへ。

40歳前後で多くの人が感じる「モヤモヤ感」=「40歳の壁」。

その正体を分解しながら、自分らしく生きるために「人生の後半戦をどうデザインしていくか?」を考える一冊。