それ以外にも、血管を老化させる原因があると言います。
「悪玉コレステロールの増加も、血管老化の原因の一つ。本来コレステロールはホルモンや細胞膜の原料となる有用な栄養素ですが、必要以上に増えてしまうと、内皮細胞に浸み込み、やがて血管内膜の内部にコブ状に溜まって、血管を硬く狭くしたり、劣化させたりします」
血管の老化現象である“動脈硬化”の始まりです。
「動脈の血流が低下すると、末端の細胞に酸素と栄養を届け、二酸化炭素と老廃物を回収する“毛細血管”や、心臓に血液を戻す“静脈”の血流も滞留。足がむくみやすくなり、それがさらに冷えを加速させます」
内皮細胞を守る運動習慣を
冷え対策には、しなやかで若々しい血管をキープすることが重要になります。食生活では糖質と脂質の摂り過ぎに注意するとともに、血管の原料となる良質なタンパク質をしっかり摂りましょう。また、カリウム、カルシウム、マグネシウムといった血管の健康を守るミネラルの摂取も大切です。
「食に加えてとても重要なのが、適度な運動です。内皮細胞は、ウォーキングなどの有酸素運動を行うと“NO(一酸化窒素)”を自ら産出。NOには傷ついた内皮細胞を修復し、炎症を抑え、血管全体の弾力性を高める働きがあります。動脈硬化の原因となる血管内のコブを小さくすることもわかってきました」
運動をすると筋肉も増えるため、体内で熱をつくる力が高まり一石二鳥。手足が冷えにくくなります。
「また、若いころから冷えに悩んできた人は、自律神経の不調が考えられます。自律神経は体温調節に限らず、生体機能のバランスを調整する神経。その乱れを改善するには、自然界のリズムに合わせた生活を心がけるといいでしょう。
朝は早めに起き朝日を浴びる。食事は規則正しく摂る。深呼吸やストレッチで心身をほぐし、ストレスを解消する。睡眠をきちんととるなど、基本的な生活習慣を見直すことで、自律神経が整うはずです」
次ページからは、冷えに効く血管強化法をご紹介します。