イラスト:おおの麻里
寒い季節になると悩まされる、冷え。その原因の一つに、血管の老化による血行不良があります。そこで、しなやかで若々しい血管を手に入れるためのケアをご紹介(おおの麻里=イラスト 大田由紀江=取材・文 渡部真里代=構成)

血管が細く、硬くなると血の巡りが悪くなる

冬の訪れとともに、冷えを訴える女性が増えています。

「体中に“熱”を運ぶのは、血液の役目。気温が下がると内臓を冷えから守るため、温かい血液は体の深部に集まろうとします。反対に手足など末梢の血管は熱の放散を防ごうと収縮するため、全身に血液が十分に行き届かなくなる。すると、手足が冷えやすくなるのです」と語るのは、新小山市民病院院長の島田和幸先生です。

人間は深部体温を一定に保つため、気温に応じ血管を広げたり縮めたりして、血流を調節しているといいます。

「ただ、体を動かしたり食事を摂ったりすることで熱が産み出されれば、手足の血流は戻りますから、冷えは一過性で治まるはず。それなのに、暖かい室内にいても常に手足が冷たいとしたら、血管老化のサインかもしれません」(島田先生。以下同)

血管が加齢によって柔軟性を失い、細くなると、自律神経の指令どおり拡張・収縮することができず、血の巡りが停滞ぎみに。

「血管老化をもたらす原因の一つは、血液中に増え過ぎた“糖”。食事で摂った糖は、糖代謝ホルモンであるインスリンのサポートで、エネルギー源として消費されます。

けれど、加齢のためインスリンの量が減ったり、その効果が低下したり、また糖質を摂り過ぎていたりすると、血液中に含まれる糖の濃度が上がり、血管にダメージを与えることに。

過剰な糖が、血管の内側を覆う内皮細胞の新陳代謝を徐々に損ない、血管を硬く脆くしてしまうのです」