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 二、三日って言ったけれど、その日から一週間、西森さんから連絡はなかったし、バッティングセンターにも顔を出さなかった。

 心配になったけど、何かあったならすぐにわかるから安心しろって三公さんが言っていた。

 それで、日曜になった。

 その日の昼に、西森さんが来たんだ。

 一人じゃなかった。

 青いジャージの上下を来て、スポーツバッグとバットケースを肩から提げた、中年の男の人と一緒に。

 すぐに受付のところに来て、西森さんが小さな声で言った。

「ケージの後ろ側に入れるだろう?」

「入れます」

 ネットの後ろであれば。

 見学だけのお客さんが入るのは危ないのでやめてもらっているけれど、何人かで一緒に打ちたいときには、大人であれば許可している。子供たちだけでは、ダメ。

「こいつと話をしてくれ。誰に見られるかわからんから、用心のために、打ちながらこいつが話すからな」

 打ちながら。

 ジャージを着た男の人は、ほんの少し微笑んだ。背が高くて、きっと一八○ぐらいはある。身体もたぶん鍛えてる。年は、わからない。三十とか、四十とか、とにかく中年の男の人。

「特に君から話さなくてもいいからな。こいつの話を聞いて、質問に答えておけばいいから。何も心配ない」

「わかりました」

 受付して、ちょうど空いているケージに案内した。西森さんは、ロビーのベンチに座って煙草(たばこ)を吸って、三公さんと話を始めている。