〈カラオケdondon〉の奥まった一室。そこは通称〈バイト・クラブ〉のための部室。ここの部員になるための資格は、【高校生の身の上で「暮らし」のためにバイトをしていること】。夏夫の父で暴力団員の〈長坂康二〉が銃撃された。三四郎は、夏夫と家族を助けるために、元暴力団員の西森を頼る。

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 西森さんは、土曜日の夕方にやってきた。ちょうど僕もバイトに入っていたとき。

 いきなり話を聞いてもらうのはやっぱり失礼なので、西森さんがいつものようにケージに入って、打ち終わるのを待った。

 三公さんが、話しかけた。

 ちょっと話を聞いてもらえないだろうかって。西森さんは、暇だからいいよって。ロビーにあるベンチに座ってもらった。

 素直に、全部話した。

 夏夫くんとのことを。この先どうやって過ごしたらいいのか、何かわかる方法とか手段とかがわかるのなら教えてもらえないかって。

 西森さんは、ロビーのベンチに座って、うんうんって何も言わずに頷きながら話を全部聞いてくれた。

「なるほどなぁ」

 頷いて、唇をヘの字にして僕を見ている。

 そして、ちょっと笑った。

「三四郎くんだったか。あの姿(すがた)三四郎と同じ名前の」

「そうです」

 字は、菅田三四郎ですけど。

「友達思いなのはいいこったな。そういう気持ちというか、気質みたいなもんは死ぬまで大事にしといた方がいいな。もちろん気質ならそう簡単には変わらん」

 そう言って、小さく息を吐いた。