「ただ、やはり接触はしない方がいい。お母さんにも息子さんにもね。今はどこかに隠れているそうだね?」
「そうです」
「手助けしてくれている人がいるそうだね。その人と会えたりできるかな?」
「できます」
〈アノス波坂(なみさか)SS〉ガソリンスタンドの店長さん。河野(かわの)さん。
「ここみたいに、お店をやっている人です。そこの店に行けば誰でも会えます」
「何のお店かな?」
それは言っていいものだ。
「ガソリンスタンドです」
おう、って思わずみたいな感じで声を出した。
「それは好都合だ。どこだい?」
「〈アノス波坂SS〉の店長です」
うん、って頷いた。
「わかる。じゃあ、君から皆に今の話を伝えておいてくれ。僕は二、三日中に電話してから〈アノス波坂SS〉に行くからって。僕の名前は、三隅(みすみ)だ」
「三隅さん。わかりました」
「よし」
最後の一球。
またホームランだ。
「あの、ホームランには景品が出るんですけど、いりますか?」
こっちを見て、笑った。
「いらないかな。誰かにあげてもいいよ」