「記号道路」と「真幅道路」

日本の地形図では道路の記号を「記号道路」と「真幅(しんぷく)道路」に分類している。

「記号道路」とは文字通り道路の記号によって描くもので、現在は幅員によって5種類に分類され、実物より太く表現されている。

『地図記号のひみつ』(著:今尾恵介/中央公論新社)

空中写真と地図を比較すればすぐわかるが、空から見た道路は意外に細くて目立たない。それでも地図上で道路は交通路として重要度が高いので、大縮尺の地図を除けばあえて太く強調している。

「平成25年図式」の分類は、(1)13~19.5メートル(歩道のある2車線)、(2)5.5~13メートル(歩道のない2車線)、(3)3~5.5メートル(1車線)、(4)3メートル未満(軽車道)、(5)1メートル未満(徒歩道)となっており、(1)~(3)が2条線である。

図上での幅は(1)が0.8ミリ、(2)が0.5ミリ、(3)が0.4ミリ、(4)は1本線、(5)は破線である。

これに対して「真幅道路」は、最も太い記号道路の(1)より広い幅員があれば縮尺通りで描く。たとえば東京の銀座四丁目交差点を通る晴海(はるみ)通りのように6車線と両側の歩道を合わせて36メートルに達するような大通りは、縮尺通り(この場合は約1.4ミリ)で表現する。

4車線以上の道路であれば中央分離帯が設置されていることが多いので、その場合は「分離帯」という細線を真ん中に入れるが、交差点などで分離帯が途切れている場所はその通りに細線を分断させて表現する。トンネル内では同じ2条線を破線で表現するのだが、分離帯は描かない。

「平成25年図式」からは、それまでの3色刷から多色刷(印刷インクは4色)となり、道路にも種類別に色を付けることになった。高速道路(高規格道路、首都高速などを含む)は緑(C70+Y70)、国道が赤(M55+Y35)、都道府県道が黄(Y35)に色分けされ、それぞれ2条線の内側に着色されている(トンネル内を除く)。

ただし軽車道と徒歩道は1本線なので線の左右に色が見えるよう、線より太い0.4ミリ幅で色を載せてあり、しばしば話題になる山間部で自動車が走れない国道は、黒い破線が赤く着色されて印象的だ。