「川」の記号

地形図で川の記号は「1条河川」と「2条河川」に分けられる。

何かの法律の条文に規定されたものではなく、国土地理院では1本線で表すものを1条河川、川幅が広く2本線で表すものを2条河川と呼んでいる。

『地図記号のひみつ』(著:今尾恵介/中央公論新社)

「平成14年図式」の規定によれば、「平水時において、常時水流のある自然河川及び人工の河・川」が表示の対象であり、「平水時の幅1.5m以上5m未満の河川」が1条河川、それより水流の幅が広いものが2条河川だ。

ただし1.5メートルが金科玉条になっているわけではなく、「この基準に満たないものであっても、地域の状況を表現するうえで、必要な場合は、適用することができる」と幅を持たせている。

なお最新の「平成25年図式」については事情により話がややこしくなるので、ここでは触れない。どうしても気になる方は、国土地理院のウェブサイトで公開している「平成25年2万5千分1地形図図式(表示基準)」をご覧いただきたい。

常時水流のない川には「かれ川」という、破線で示す記号(1条・2条とも)がある。「平成14年図式」では「通常、水の流れていない川をいい、断続している河川の流路を明示する場合に適用する。最上流部には適用しない」と定めている。

実際に用いられる例としては、上流はいつも流水がありながら、砂礫層で覆われた扇状地の区間では地下を「伏流」する場合が典型だ。

適用されない最上流部というのは、高山帯の源流部などで岩が散乱する「ガレ場」を伏流する場合だろう。水量も少なくルートも確定しにくいから描かないのは当然だ。